酒蔵取材レポートvol-2:澤乃井(小澤酒造)_2つの『水』を使い分けるこだわりの酒作り | shugo-sake.media

酒蔵取材レポートvol-2:澤乃井(小澤酒造)_2つの『水』を使い分けるこだわりの酒作り

 東京都心から約1時間30分。

降り立つとすぐに、都会とは違った澄んだ空気を感じられるほど、山々の新緑と多摩川の美しい清流に恵まれた場所に「澤乃井(小澤酒造)」はある。

青梅市沢井の地で300年以上もの歴史を誇る酒蔵の23代目当主・小澤幹夫さんに、日本酒造りにおいて大切にしていることやお酒の楽しみ方を伺った。

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綺麗な水を生かした酒造りを目指す

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 「小澤酒造で最も大切にしているのは『水』です。ブランドのロゴマークになっている沢蟹は、綺麗な水のある渓流に生息する生き物で、昔からこの多摩川にはたくさんいるんですよ。」と小澤さんは話す。

日本酒造りは大量に水を必要とし、さらに良質でないといけない。綺麗な水脈の近くであることは酒蔵の立地において必須条件といえるだろう。東京のなかでも、緑が美しい雄大な自然と、水がある場所。澤乃井は、まさに酒造りに適した場所に300年も前から蔵を構えているのだ。

蔵では、秩父古成層の岩盤を手で140mも掘った洞窟から湧き出る横井戸の中硬水と、4キロ離れた山奥の井戸から引く軟水の2種類を使用しているという。

「2つの水を使い分ける蔵は、うち以外にはあまり聞いたことがないですね。中硬水をつかった酒は「男酒」と呼ばれ、ミネラル分が豊富なため発酵が活発になることで、味が武骨でキレのある酒に仕上がります。反対に軟水をつかうと発酵がゆっくり進むため、酒はなめらかで上品な口当たりとなり、「女酒」と呼ばれるんですよ。」

生酛造りで酒を仕込むときは硬水をつかうようにするなど、2種類の水を使うという澤乃井の日本酒は、キレを感じさせながら口のなかではまろやかに味が広がるのが特徴だ。「飲んでいただくと、『日本酒っぽい!』という感想をいただくんです。」と小澤さんは笑う。

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日本酒は自分が好きなものを好きなだけ楽しむように

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 「酒離れ」が進んでいるといわれる昨今。日本酒も例外ではなく、国内での消費量が減少しているという現実に対して小澤さんはどのように感じているのだろうか。

「お酒自体をあまり飲まなくなった今、日本酒も、昔のように量を売るというのは現実的ではないと思っています。今までは宴会や社員旅行など、半ば必然的にお酒を飲む機会が多かったと思いますが、個々が自分の時間を大事にする方向に生活に対する意識がシフトしてきた表れじゃないでしょうか。それによってお酒は「飲みニケーション」といわれるようなコミュニケーションツールから、自分が好きなものを好きなだけ楽しむ「嗜好品」という立ち位置に変わってきていると感じます。」

純粋に日本酒を嗜む人が増えることは、酒蔵にとってはより良いものを目指すことで酒質の向上にもつながるのではないかと小澤さんは言う。

澤乃井は海外展開やインバウンド需要に対しても積極的に取り組んでいる。今はメジャーになった蔵見学も、日本酒を理解してもらうために一般客を受け入れる「観光酒蔵」として昭和41年には開始しており、小澤さんの祖父が先駆けだったという。奥多摩の自然に触れながら澤乃井で日本酒を楽しもうと年間2万人〜3万人の観光客が足を伸ばし、最近は外国から訪れる人も多く、英語での蔵見学も行っている。

お酒は不変的、だからこそ何気ない毎日の中で楽しんでほしい

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 長い年月の間日本酒を造り続けてきた澤乃井だが、時代の流れとともに変化する消費者の日本酒に対する価値観に合わせることはあるのだろうか。

「もちろん澤乃井でつくる日本酒も、キレのあるものから甘みの強いものまでたくさんあります。ただ、地酒というのは地の食文化に根付いて作られていて、それを変えることはしたくないと思っています。」

たとえば九州の郷土料理は、馬刺に代表されるように甘口醤油やにんにくを使うなどしっかりとした味のものが多い。食事に合わせるとなると、お酒もとろみを感じるほどずっしりとした舌触りのものでないと負けてしまう。京都の地酒は全国的には辛口のお酒が流行っている中で、甘みを感じられるものが多い。それは、柔らかで優しい出汁の味に慣れている京都人の口には心地良いから。東京は、どうだろう。江戸前寿しや佃煮と、醤油ベースで塩味を利かせた味が印象強いではないだろうか。澤乃井は地元の味に寄り添って、淡麗すぎず、かといって甘すぎない「旨口中辛」を目指し続けているという。

「出張で地方に行く際には、地元でしか手に入らないカップ酒を買うようにしています。大吟醸クラスになると全国の百貨店で買えちゃうから。飲み方は口当たりが良く、お酒の味がよくわかる常温が好きです。」

 日本酒が好きだからこそ、いつまでも不変的であってほしいと語る小澤さんの答えは、まさに300年間、酒造りを通して地の文化と自然を変わらずに愛し愛されてきた澤乃井の真髄といえるだろう。口にする際には、酒蔵の目の前で流れる力強い水流の音、透き通った美しい川底を想像しながら楽しんでみてはいかがだろうか。

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取材:澤乃井|小澤酒造株式会社 http://www.sawanoi-sake.com/

 


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